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深溝玉軸受の寿命(ラジアル荷重のみ)

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寿命計算は次の手順で求められます。

  1. ラジアル荷重(Fr)から 動等価ラジアル荷重(Pr) を求める(Pr=Fr)
  2. 基本動定格荷重(Cr)から 寿命回転数(L10) を求める
  3. 回転数から 寿命時間 を求める

この計算を行うことで、ベアリングがどの程度の期間使用できるかを設計段階で予測することができます。

深溝玉軸受の寿命計算

① 動等価ラジアル荷重

動等価ラジアル荷重 Pr = ラジアル荷重 Fr ( = 入力値となります)

② 寿命の算出 (回転数)

※基本動定格荷重 Cr はベアリング型番ごとにカタログで定められています
L10寿命 = 回転
公式: L10 = (Cr / Pr)³ × 10⁶

③ 寿命の算出(時間)

寿命 Lh = h
公式: Lh = L10 / (60 × n)

ヶ月

計算例

実際の条件を用いて深溝玉軸受の寿命を計算してみます。


条件

項目
ベアリング型式6208
基本動定格荷重 C29.1 kN
ラジアル荷重 P3.2 kN
回転速度 n650 min⁻¹

※基本動定格荷重はベアリングカタログ値を使用します。


① 基本定格寿命(回転数)

深溝玉軸受の基本定格寿命 L10 は次の式で求められます。

L10 = (Cr / Pr)³ × 10⁶

Cr:基本動定格荷重
Pr:動等価ラジアル荷重


計算

L10 = (29.1 ÷ 3.2)³ × 10⁶ = 751,000,000 回転


② 時間寿命

回転寿命を時間寿命に変換する式は次の通りです。

L10h = ( L10 / (60 × n) )

n:回転速度 (min⁻¹)


計算

L10h = 751 × 10⁶ ÷ (60 × 650)

= 751,000,000 ÷ 39,000 = 約 19,300 時間


計算結果

項目結果
基本定格寿命751 ×10⁶ 回転
時間寿命19,300 時間

補足

実際の寿命は次の要因によって変化します。

  • 潤滑状態
  • 異物混入
  • 取付精度
  • 使用温度
  • 軸受すきま

そのため実機寿命はこの計算値より短くなる場合があります。

PR

ベアリング寿命の定義

ベアリングの寿命は、一般的に L10寿命(基本定格寿命) によって表されます。

L10寿命とは、同一条件で同じベアリングを多数運転した場合に、そのうち90%のベアリングが転がり疲労による損傷を起こさずに回転できる寿命のことを指します。

言い換えると、統計的には10%のベアリングはL10寿命に達する前に疲労破損が発生する可能性があるという意味になります。

このため、カタログや設計計算で示されるベアリング寿命は「必ずその寿命まで使用できる」という保証値ではなく、信頼度90%に基づく統計的な寿命として定義されています。

1. 動等価ラジアル荷重とは

ベアリングには、軸に対して直角方向にかかるラジアル荷重と、軸方向にかかる**アキシアル荷重(スラスト荷重)**が作用する場合があります。
これらの荷重が同時に作用する場合、ベアリングの寿命計算ではそれぞれを個別に扱うのではなく、寿命に対して同等の影響を与える単一のラジアル荷重に換算して評価します。

この換算された荷重を 動等価ラジアル荷重(Pr) と呼びます。

動等価ラジアル荷重とは、実際にベアリングに作用している複数の荷重条件と同じ寿命となるように換算された仮想的なラジアル荷重です。
ベアリングの寿命計算では、この動等価ラジアル荷重を使用して寿命を求めます。


動等価ラジアル荷重の公式

一般的な動等価ラジアル荷重は次の式で求められます。

Pr = XFr + YFa

Pr :動等価ラジアル荷重 (kN)
Fr :ラジアル荷重 (kN)
Fa :アキシアル荷重 (kN)
X, Y :荷重係数(ベアリング形式や荷重条件によって決まる係数)

深溝玉軸受の場合、アキシアル荷重の影響が小さい場合には、次のように簡略化して扱うことがあります。

Pr = Fr

つまり、アキシアル荷重が無視できる条件では、動等価ラジアル荷重はラジアル荷重と同じ値になります。

本ページの計算ツールでは、この条件を前提として
ラジアル荷重のみが作用する場合の寿命計算を行っています。


計算例

例えば次のような条件を考えます。

ラジアル荷重
Fr = 2 kN

アキシアル荷重
Fa = 0 kN

この場合、動等価ラジアル荷重は次のようになります。

Pr = Fr = 2 kN

つまり、このベアリングの寿命計算では
2 kN のラジアル荷重が作用しているものとして評価します。

この動等価ラジアル荷重を用いて、次のステップである
**ベアリング寿命(L10寿命)**を計算することができます。


2. 寿命回転数(L10寿命)

ベアリングの寿命はL10寿命という指標で表されます。

L10寿命とは
同じ条件で運転したベアリングの90%が到達できる寿命
のことです。

つまり、10%程度はそれより早く故障する可能性があります。


寿命回転数の公式

寿命回転数 L10 = (Cr / Pr)³ × 10⁶

L10 :寿命回転数 (回転)
Cr :基本動定格荷重 (N)
Pr :動等価荷重 (N)

基本動定格荷重とは
ベアリングが100万回転の寿命となる荷重
として定義されています。


計算例

基本動定格荷重
Cr = 14000 N

動等価荷重
Pr = 2000 N

まず比を求めます。

Cr / Pr = 14000 / 2000 = 7

次に3乗します。

7³ = 343

最後に100万回転を掛けます。

L10 = 343 × 10⁶

L10 = 343,000,000 回転

このベアリングは
3.43億回転 の寿命が期待できます。

3. 寿命時間

寿命回転数だけでは実際の運転時間が分かりにくいため、
通常は 運転時間(寿命時間) に換算して評価します。


寿命時間の公式

寿命時間は回転数から次の式で求められます。寿命時間(h)=L1060×n寿命時間(h) = \frac{L10}{60 \times n}L10 :寿命回転数 (回転)
n :回転数 (min-1)

1分間の回転数は min-1 で表されるため
1時間では

min-1 × 60

回転します。


計算例

寿命回転数
L10 = 343,000,000 回転

回転数
n = 3000 min-1

1時間の回転数

3000 × 60 = 180,000 回転

寿命時間

343,000,000 ÷ 180,000

= 約 1905 時間

さらに換算すると

約79日
約2.6か月
約0.22年

となります。


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